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JR東日本(本庄保線区)事件~パワハラ被害者勝訴判例

パワハラ概要

Jr東日本の従業員であり、国鉄労働組合員である控訴人が、国鉄労働組合のマークが入ったベルトを身につけながら作業をしていたところ、管理職職員が、就業規則違反を理由にそのベルトの取り外しを命じた。

さらに就業規則の全文書き写しとその後の感想文、また、書き写した就業規則の読み上げを命じるなどした。

これらのことは、正当な業務命令の裁量範囲を明らかに逸脱した違法行為であり、不法行為を構成するとして、慰謝料の支払いを求めた。

裁判の結果。慰謝料額

第一審(一部容認)

その後、控訴棄却、上告も棄却された

判旨(違法性、慰謝料請求)

○ベルトの着用の就業規則違反について

職場内教育訓練を含めてJR東日本が社員に命じる得る教育訓練の時期および内容や方法は、その性質上原則として会社の裁量的判断に委ねられているというべきものであるが、その裁量は無制約なものではなく、不合理なものであってはならないし、その実施においても社員の人格権を不当に侵害する態様のものであってはならない

働組合のマークが入ったベルトの着用が就業規則に違反するものと判断して取り外しを命じ、社員がこれに従おうとしなかったことから教育訓練を命ずるにいたったが、ベルトの着用そのものが就業規則に違反するか否かについては、仮に違反したとしても非常に軽微なものであり、事実上黙認されている他の行為との均衡を考慮すべきものである。

○教育訓練の違法性について

管理職職員が、ベルトの着用が就業規則違反にあたるから、そのことを認識させるために何らかの教育訓練が必要と考えたのであれば、その訓練の範囲はそれに関連する諸規定で十分なはずであれ、その方法も、まずはその趣旨を丁寧に説明して社員の納得を得るように試みることなどが当然考えられて然るべきところ、本来業務を外してまで、あえて就業規則全文にわたり、しかも、いきなりその書き写しをさせる教育訓練を行う必要性があったのか理解しがたい。

この教育訓練は、社員に就業規則を学習させるというより、むしろ、見せしめ的な懲罰的目的のもとに行われたものであると推認せざるを得ず、社員に対して、肉体的精神的苦痛を与えて、その人格権を侵害するものであるから、教育訓練は管理職職員としての裁量を逸脱、濫用した違法なものというべきであり、控訴人に対する不法行為を構成することは明らかである。

管理職職員は民法709条により、JR東日本は民法715条により、控訴人が被った損害につき、これを賠償する義務があり、その慰謝料は20万円をもって相当である。

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