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ダイエー事件~パワハラ被害者敗訴判例

パワハラ概要

ダイエーの従業員であった被害者が、その取引先の文書部長から賃貸していた建物の明け渡し問題に関し、この文書部長がダイエーの専務に対し、建物の明け渡しに応じるよう強力を依頼したところ、被害者の直属の上司と、所属する事業本部の人事部長であったが、専務の意を汲み共謀のうえ、被害者に対し人事権や考課権をたてに建物の明け渡しを強要したが、被害者が明け渡しを拒否しつづけると、不当な人事考課がなされた結果、得るべき賃金を失ったとして、財産的損害約770万円、精神的苦痛を受けたとして、慰謝料として200万円、将来の昇格・昇進の道を断たれうえ左遷され、精神的苦痛を受けたと主張し、慰謝料として1,000万円の賠償等を請求した。

裁判の結果。慰謝料額

一部容認

慰謝料:ダイエーおよび上司に対してそれぞれ慰謝料30万円

判旨(建物明け渡しについて )

○建物の明け渡しについて

企業内において上司ないし序列上上位にある者が、部下ないし下位にある者の私生活上の問題につき一定の助言、忠告、説得をすることは、一概に許されないものということはできない。

ただし、会社の職制上の優越的地位を利用して、人事上の不利益をほのめかしながら、少なくとも2ヶ月間8回にわたり執拗に明け渡しを説得し続けたことは許される説得の範囲を超え、部下の私的問題に関する自己決定の自由を侵害するものであって、不法行為と言えるものであり、このことによって被害者が受けた精神的苦痛を慰謝するには30万円の支払いが相当である。

また、上司の不法行為は事業の執行に関してなされたことは明らかであるから、会社も使用者として損害賠償請求を負うべきである。

被害者が所属する事業部の事業部長も建物の明け渡しの説得にあたったが、許された説得の範囲を逸脱しているとは言い難い。

また、取引先の文書部長がダイエー専務に対して明け渡し問題解決の協力をしたことは明らかであるが、ダイエー専務の部下らが、許された説得の範囲を逸脱し、違法な強要をすることを予見していたという証拠はないから、この文書部長に対して不法行為の責任を問うことはできない。

○人事考課等ついて

被害者の上司が人事考課等をするにあたって、被害者が自分の意向に反する言動を続けたことに対する報復として、その裁量権を濫用したとまで断定するには、躊躇を感じざるを得ず、また確信を得るに足りるだけの証拠もない。

また、被害者が所属する事業部の人事部長は、上位者に対してその考課・査定を提出するにあたって、自らが掌握しhている範囲の従業員間の考課・査定の調整をする立場にあったが、その裁量権を濫用ないし逸脱して調整したことを認めるに足りる証拠がない。

したがって、上司および人事部長については不法行為を認めることはできず、会社の使用者責任、取引先の文書部長およびその取引先の会社についても、不法行為責任、使用者責任も認めることはできない。

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