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平成16年 労働基準法の改正 有期労働契約

「労働基準法の一部を改正する法律」が、平成15年7月4日に公布され、平成16年1月1日から施行されました

改正点1 有期労働契約

契約期間の上限の延長(第14条第1項)

  1. 有期労働契約(期間の定めのある労働契約)について、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、契約期間の上限は原則3年となります。

    ただし、有期労働契約を締結した労働者は、労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができます
  2. また、高度の専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」と言いいます。)を有する者や、満60歳以上の者と有期労働契約を締結する場合の契約期間の上限は5年とされました。

    高度の「専門的知識等」を有する者とは
    • 博士の学位を有する者
    • 公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士又は弁理士のいずれかの資格を有する者
    • システムアナリスト試験又はアクチュアリー試験に合格している者
    • 特許法に規定する特許発明の発明者、意匠法に規定する登録意匠を創作した者又は種苗法に規定する登録品種を育成した者
    • 大学卒で実務経験5年以上、短大・高専卒で実務経験6年以上又は高卒で実務経験7年以上の農林水産業の技術者、鉱工業の技術者、機械・電気技術者、システムエンジニア又はデザイナーで、年収が1075万円以上の者
    • システムエンジニアとしての実務経験5年以上を有するシステムコンサルタントで、年収が1075万円以上の者
    • 国等によりその有する知識等が優れたものであると認定され、上記に掲げる者に準ずるものとして厚生労働省労働基準局長が認める

有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準
(第14条第2項、第3項)

有期労働契約の締結時や期間の満了時におけるトラブルを防止するため、使用者が講ずるべき措置について、厚生労働大臣が基準を定めることができることとされました。厚生労働省では、これに基づき、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」を制定しました。

「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」の内容は、以下のとおりです。

  1. 使用者は、有期契約労働者に対し、契約の締結時に契約の更新の有無、契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければなりません。
  2. 使用者は、一定期間以上継続して雇用している有期契約労働者について、雇止めをする場合には、少なくとも30日前に予告をしなければなりません。
  3. 使用者は、労働者が雇止めの理由の明示を請求した場合には、遅滞なくこれを文書で交付しなければなりません。
  4. 使用者は、契約の更新により一定期間以上継続して雇用している有期契約労働者と契約を更新する場合には、契約の実態及びその労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければなりません。

改正点2 解雇

解雇(第18条の2)
(平成17年に、労働契約法が制定され、この条文は労働基準法から削除されました)

「解雇権濫用法理」が法律に明記されました。

第18条の2として、 「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」 との規定が新設されました。

解雇権の法理とは、「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会 通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になると解 するのが相当である。」と判示されたものです。(最高裁第2小法廷 昭和43年(オ)第 499号 昭和50年4月25日判決)

就業規則への「解雇の事由」の記載(第89条第3号)

就業規則に、「退職に関する事項」として「解雇の事由」を記載する必要があることが、法律上明確にされました。

労働契約締結時における「解雇の事由」の明示(第15条)

労働契約の締結に際し、使用者は「解雇の事由」を書面の交付により労働者に明示しなければならないことが明確にされました。

解雇理由の明示(第22条第2項)

解雇をめぐるトラブルを未然に防止し、その迅速な解決を図るために、これまでの退職時証明に加えて、労働者は、解雇の予告をされた日から退職の日までの間においても、解雇の理由についての証明書を請求できることとされました。

ただし、使用者は、解雇の予告がされた日以後に労働者がその解雇以外の事由によって退職した場合は、この証明書を交付する義務はありません

改正点3 裁量労働制

裁量労働制とは労働者を対象とする業務に就かせ、労働者に時間配分や仕事の仕方をゆだねた場合、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度(みなし労働時間制)です。裁量労働制には、次の2種類があります。

  1. 専門業務型裁量労働制・・・デザイナー、システムエンジニア等、専門的な業務に就く者が対象
  2. 企画業務型裁量労働制・・・事業運営の企画、立案、調査及び分析の業務を行うホワイトカラー労働者が対象。

専門業務型裁量労働制(第38条の3)

専門業務型裁量労働制を導入す る場合には、労使協定で定めるところにより、使用者が次の措置を講ずること。労使協定で定めなければならないこととされました。

  1. 対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた労働者の健康・福祉を確保するための措置
  2. 苦情処理に関する措置
  3. 協定の有効期間
  4. 労働者ごとに講じた1,2、の記録をすること
  5. 4の記録を協定の有効期間及びその期間満了後3年間保存すること

企画業務型裁量労働制(第38条の4)

企画業務型裁量労働制については、導入・運用の要件・手続が以下のように改正されました。

  1. 企画業務型裁量労働制の対象事業場について、本社等に限定しないこと
  2. 労使委員会の決議について、委員の5分の4以上の多数によるものとする
  3. 労使委員会の労働者代表委員について、あらためて事業場の労働者の信任を得ることとする要件を廃止
  4. 労使委員会の設置届を廃止する
  5. 使用者の行政官庁への定期報告事項は、対象労働者の労働時間の状況及びその労働者の健康・福祉確保措置の実施状況に限る
  6. 5の報告は、「決議の日から6か月以内ごとに1回」とする

平成25年労基規則改正

平成22年労基法改正

平成16年労基法改正