労働どっとネット~労働に関するご相談

労働どっとネット > 労働基準法の解説 > 労働時間 > 通勤時間と労働時間の判断基準

通勤時間と労働時間の判断基準

一般的な通勤時間と労働時間の判断基準。労働基準法の解説。

  1. 通常の通勤時間
  2. 出勤・退勤途上の業務上の寄り道
  3. 専用交通機関の利用
  4. 突発、緊急用務のための呼出出勤
  5. 交通ストライキの場合のマイカー便乗

通常の通勤時間

通常の通勤時間は

通常の通勤時間は労働時間とはなりません。始業時間までに会社に出勤しさえすれば、それまでは労働者の自由な時間であり、退勤後もまた労働者の自由な時間となるのです。

通勤時間は使用者の支配管理下にない業務外の時間であり、使用者の指揮命令の下に入っていない時間ということになりますので、労働時間には該当しないのです。

ただし、労災保険法上では、通勤災害は業務災害に準じた労災保険給付が行われます。 。

出勤・退勤途上の業務上の寄り道

通勤や退勤の途中で、会社の命令によって業務をする場合、通常の通勤経路の部分は労働時間とはなりません。しかし、会社から命じられた業務を遂行するために通常の通勤経路を逸脱した部分については業務遂行時間となります。

ただし、物品の運搬等で自動車を利用する場合ではなく、一般の交通機関を利用する場合には、ただ単に目的地まで公共の交通機関に乗っているだけで特別な拘束がないと考えられ、労働基準法上はこの時間を労働時間に算入しなくても構いません。

労働基準法38条の2で「労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。」とあるように、通勤途上による寄り道で、その時間の把握が困難な場合には、原則として所定労働時間(みなし時間)とし、時間外労働として扱わなくてもよいということになります。

専用交通機関の利用

専用交通機関の利用とは、駅から会社まで会社のマイクロバスが送迎してくれるような場合をいいます。

専用交通機関の利用中に、その利用に起因する災害については業務上の災害とされています。しかし、マイクロバス等に乗っている時間が労働時間になるということではありません

通勤のため専用交通機関を利用している時間は、その交通機関の中に拘束されてはいるものの、その拘束は労働者の選択した通勤方法上の拘束であり、会社の指揮命令下にはないからです。

突発、緊急用務のための呼出出勤

突発もしくは緊急用務のために会社から呼び出しを受け、出勤を命じられて予定外の通勤する場合は、本来の労務の提供のための通勤ではなく、会社の特命による出勤であるため、労働基本法33条の『非常災害等の場合』に準じ、自宅を出た時から特命用務のために供された時間と解することもできます。

しかし、その実態は一定の時刻までに会社に到着すればよい通勤時間と同じであり、その時間帯が通常の時間帯と異なっているだけにすぎないことから、通常の通勤時間と同じものとして労働時間にはならないということになります。

交通ストライキの場合のマイカー便乗

交通ストライキの場合に、社員の間で取り決めをして、誰かのマイカーに同乗して通勤する場合には、通常の通勤と変わりはないので通勤時間は労働時間になりません。

しかし、会社側の指示により、社員のマイカーを通勤に使うことにし、同一方面から通勤する社員に同乗するよう配車の割り当てを行った場合には、専用交通機関の利用と同じ扱いになります。(会社において、そのマイカーを借り上げたことになる)

ですから、この時に起こった災害については業務上災害となり、運転者である社員が第三者に被害を与えた場合には業務執行中の災害として会社に使用者責任が発生します。そして会社が運行供用者となり、損害賠償責任を負うことになります。 しかし、労働時間については、同乗の社員も運転者となる社員も労働時間には該当しません。


労働時間・休憩時間とは

拘束時間

作業準備・後始末時間(始業前の清掃・お茶など)

-通勤時間の判断基準-
一般通勤時間

出張・集合場所経由

現場へ直行直帰

-特殊な労働時間制度-
変形労働時間

みなし・裁量労働時間

☆労働基準法個別解説一覧☆